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【海洋学】海洋上での軽石の漂流パターンを予測する

Nature Communications

2014年4月23日

Oceanography: Predicting oceanic pumice drift patterns

Nature Communications

大きな軽石ラフト(pumice raft)の分散と漂流のパターンを予測する上で役立つと考えられる手法を示した論文が、今週掲載される。軽石ラフトの漂流先を予測できれば、その存在によって危険にさらされる船舶の航路や港湾地区に対して、十分な時間的余裕を持って警告を発し、予防策の実施につなげられると期待されている。

軽石ラフトとは、海洋火山の噴火によって生じた軽石の破片が蓄積して大きな塊を形成したもので、海面上を漂流する。これが、航路の障害となり、船舶を損傷する。海面下の特定の海山や火山島が噴火すると、海面に分厚いラフトが形成され、相当な範囲に広がり、数か月にわたって海運業に支障を来し、それが数年に及ぶこともある。今回、Martin Jutzelerたちは、全球海洋循環の高分解能モデルを用いて、南西太平洋の深海底にあるアーヴル海山の噴火によって生じた400平方キロメートルの巨大な軽石ラフトの漂流のシミュレーションを行った。そして、人工衛星画像と船員による直接観測の結果と照らし合わせることで、このシミュレーション結果の検証を行った。Jutzelerたちは、この方法で、軽石ラフトの海面上での漂流を正確に再現できることを明らかにし、軽石ラフトという大規模な自然実験によって、全球海洋循環の高分解能モデルの物理学的性質の妥当性が確認されたことも指摘している。

今後の火山噴火で、被害を起こす危険性をはらんだ軽石ラフトが発生した場合には、Jutzelerたちの手法を用いることで、軽石ラフトの分散経路を予測し、船舶に対する潜在的危険を低減させることができ、関係当局は、港湾地区を保護するための措置を実施できる。また、これと同じ高忠実度の粒子追跡法を用いて、その他の海洋表層の漂流物(人間活動による廃棄物や受動的に漂流する生物)の拡散を予測できる可能性もある。

doi: 10.1038/ncomms4660

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