注目の論文

地球の温暖化傾向の非線形性

Nature Climate Change

2014年5月5日

Tracking warming trends

1990年以降、北半球中緯度域の乾燥地域と半乾燥地域(アジアとヨーロッパ、北米の陸塊)で最も急激な温暖化が起こったことを報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。

陸地表面の温暖化は、北半球の亜熱帯域と亜極域で始まり、温暖化地帯は、1950年から1985年までに拡大して、これらの地域全体に及んだ。温暖化は、時間的・空間的に均一に生じるわけではないため、温暖化の進行過程を解明すれば、温暖化傾向の継続に伴う影響可能性を正しく評価できるようになる。

今回、Zhaohua Wuたちは、非線形的傾向を検出する方法を用いて、全球的な陸地表面温暖化の空間パターンを割り出した。この方法では、非人為的な気候変化の数々の要素を推定して、それらの要素をデータから控除する。この方法を用いれば、気温の時系列データから温暖化傾向を突き止めることができるのだ。その結果、北半球の中緯度域の温暖化速度が10年当たり摂氏0.3度ほどで、南半球の亜熱帯域の温暖化速度が、そのおよそ半分であったことが判明した。

温暖化が線形的に進行するという前提に立つ研究が多いが、今回の研究は、20世紀における温暖化の加速の非線形性を明確に示している。

doi: 10.1038/nclimate2223

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