Nature ハイライト
Cover Story:スワヒリ人の祖先:中世のDNAによって明らかになったアフリカ東部沿岸におけるアフリカ人とアジア人の交わり
Nature 615, 7954
アフリカ東部のスワヒリ海岸に住んでいた中世の人々は、サハラ以南で初めてイスラム教徒となった。今回D ReichとC Kusimbaたちは、中世および近代(1250〜1800年)のスワヒリ海岸沿いの石造りの6都市に埋葬されていた人々など、計80人から得られたDNAの塩基配列を解読した。分析によって、1000年以前に東アフリカ沿岸部に沿って、アフリカ人女性とアジア人男性の間で混血が始まり、最初期のアジア人移住者の大半がペルシア系であったことを明らかにしている。こうした知見は、スワヒリ海岸の人々によって語り継がれてきた最古の物語である「キルワ年代記」とも一致する。最初期のアジア人移住者の祖先系統は、約10分の1がインド起源であった。表紙は、1896年に撮影されたザンジバルのスワヒリ人女性の写真を基に作成したものである。衣服の織物パターンは、DNA、中世の通商を示すダウ船、文化的影響を示すイスラムのシンボルなど、今回の論文の主題を反映するように描き直されている。
2023年3月30日号の Nature ハイライト
天文学:SZ効果で探る宇宙の構造の熱的進化
素粒子物理学:陽子内部の質量分布を探る
量子物理学:シリコン中のキュービットで実現された汎用量子論理
工学:CMOS集積メモリスターにおける数千通りのコンダクタンス状態
材料科学:明るくて安定な近赤外ペロブスカイトLED
生物物理学:光合成複合体における初期の電子抽出
気候科学:南極の雪解け水がもたらす海洋循環の減速と温暖化
生物地球化学:全球の陸域炭素シンクの不安定化
惑星科学:地球への水の運搬を制限する微惑星の分化
生態学:海洋温暖化が浅海サンゴ礁生物に及ぼす影響
健康科学:都市生活の恩恵の伸び悩み
神経科学:タンパク質ベースの新型カルシウムインジケーター
神経科学:移ろいゆく風景と神経ネットワーク
発生生物学:雄マウスから機能的卵母細胞を作製
免疫学:FcμRによる各種IgMの認識機構
がん:メニン阻害による新たながん治療戦略
分子生物学:全ゲノム倍加がもたらす発がん性のクロマチン進化
構造生物学:4種類の呼吸鎖が協力してミトコンドリア膜をカーブさせる