Nature ハイライト

Cover Story:分子よけ:コレステロールの動きがトビムシに汚れが付かない皮膚を与える

Nature 618, 7966

表紙に示されているTetrodontophora bielanensisなどのトビムシ(トビムシ目)は、皮膚を通して呼吸する無脊椎動物であるため、その表面を汚れないようにしておく必要がある。今回C Wernerたちは、トビムシの体表面のコレステロールの層が、汚れが付かないコーティングになる仕組みを明らかにしている。彼らは、実験と原子レベルのシミュレーションを併用して、コレステロール層の反発能力が、コレステロール分子の配向のゆらぎに起因することを見いだした。こうしたゆらぎによって、「エントロピー的反発」が生じる。すなわち、基本的には、皮膚への生体分子の吸着にはコレステロール分子が拘束されている必要があるが、これはエントロピーを低くするため、より熱力学的に不利になると思われる。著者たちは、この知見は、吸着を抑制する材料の開発に役立つ可能性があると示唆している。

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