Nature ハイライト

Cover Story:低温の安らぎ:永久凍土が河川の侵食と移動を防いでいる

Nature 634, 8033

米国アラスカ州のコユカック川(2024年3月に撮影)。北極域の多くの河川は毎年10月から5月まで凍結している。
米国アラスカ州のコユカック川(2024年3月に撮影)。北極域の多くの河川は毎年10月から5月まで凍結している。 | 拡大する

Emily Geyman

表紙は、1万年間の河川の移動の数値シミュレーションの結果を示したものである。永久凍土が河川の侵食と移動にどのように影響するかは、これまでほとんど明らかでなかった。今週号では、E Geymanたちが、米国アラスカ州のコユカック川に焦点を合わせて、この問題の解決に取り組んでいる。彼女らは、人工衛星画像のピクセルサイズよりもはるかに小さいスケールで河岸の侵食を解き明かすことのできる新しい計算手法を使って、人間の目には見えない変化を明らかにした。その結果、永久凍土が存在する場所では、存在しない場所と比べて河岸の侵食が47%少ないことが見いだされた。また、永久凍土が融解すると、河川の移動速度が30~100%増加する可能性があることも分かった。北極域の村の約43%が河川に隣接していることから、著者たちは、気候変動による永久凍土の融解が重要な影響を及ぼす可能性があると示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度