Nature ハイライト

Cover Story:雲の中で:イソプレンが対流圏上部での新しい粒子の形成を促進

Nature 636, 8041

大気中の粒子は雲の形成と性質に影響を与えることがあるため、気象モデルや気候モデルに組み込む必要がある。しかし、粒子の種類、その発生の仕方や場所、そしてその影響の程度は十分に解明されていない。今週号では2報の論文が、対流圏上部における新たな粒子形成の機構を明らかにしている。いずれの論文も、イソプレンという、植物が生成する気体であり、メタンに次いで大気中に放出される炭化水素の中で最も多い化合物に重点を置いている。X Heたちは、CERNの実験用CLOUDチャンバーを使って、対流圏上部で見られる条件下でのイソプレンの挙動を調べ、この気体がヒドロキシルラジカルと反応して新しい粒子を形成し、それが急速に成長することを見いだした。J Curtiusたちは、HALO研究航空機を使ってアマゾン盆地上空の対流圏を観測し、イソプレンナイトレートが新しい粒子の形成を促進していることを明らかにした。以上の結果から、両論文は、イソプレンが対流圏上部での新しい粒子形成の主要な機構の原因物質である可能性を特定し、気候モデルに組み込む必要のある粒子の分布、種類、性質を拡大している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度