Nature ハイライト 化学:色素増感太陽電池の着実な進歩 2012年5月24日 Nature 485, 7399 二酸化チタンを使う色素増感太陽電池は、効率がよくコストが低いため、再生可能エネルギー用途で関心を集めているが、デバイス構造体内に有機電解質を用いるため、漏れや腐食を起こすおそれがある。今回、M Kanatzidisたちは、溶液処理で作製可能なCsSnI3−xFx化合物からなる無機半導体を見いだした。液体電解質をこの無機半導体に置き換えることにより、優れたエネルギー変換効率を示す全固体太陽電池が得られる。特に、スペクトルの赤色領域での効率が優れており、この点で従来の色素増感太陽電池をしのいでいる。この新化合物は、地球上に豊富に存在する安価な元素でできており、しかも室温での処理が可能である。今後、最適化と色素の改良が進めば、効率をもっと高められると考えられる。 2012年5月24日号の Nature ハイライト 進化:すべての生物にある時計マーカー 脳:単一細胞レベルで脳活動を見る 宇宙:太陽類似星でのスーパーフレアの発生率 化学:色素増感太陽電池の着実な進歩 地球:始生代の地球化学的不連続 遺伝:黒色腫におけるPREX2変異 神経:血液脳関門を回復させる 進化:結合タンパク質から進化した酵素 目次へ戻る