Nature ハイライト

惑星科学:地球と火星の表面の水がたどった異なる運命

Nature 552, 7685

火星の今と昔を描いた想像図。左側は赤く乾いた現在の火星表面で、右側は豊かな水をたたえた、形成から間もない初期の火星表面である。
火星の今と昔を描いた想像図。左側は赤く乾いた現在の火星表面で、右側は豊かな水をたたえた、形成から間もない初期の火星表面である。 | 拡大する

Credit: Jon Wade (jon.wade@earth.ox.ac.uk) and James Moore (james.moore@ntu.edu.sg)

水は、地質時代の大半にわたって地球の表面に存在していたと考えられているが、火星では、火星の形成直後に表面から姿を消した。J Wadeたちは今回、地殻の水を含む苦鉄質岩石の埋設や変成作用によって、地球と火星の表面から除去される可能性がある水の相対体積を定量化している。その結果、地球の溶岩より比較的酸化第一鉄に富む火星の溶岩の変成鉱物集合体は、変成した地球の玄武岩よりも約25%多く水を保持できることが示された。このような鉱物集合体は、火星内部の比較的より深部まで水を輸送できる。地球では、浮力の大きな苦鉄質地殻が存在し、地温勾配がより大きいため、地質史の初期に上部マントルが加水される可能性が低くなり、表面近傍に水が保持されたと考えられる。

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