Nature ハイライト
物性物理学:非従来型超伝導体のネマチック量子臨界
Nature 567, 7747
絶対零度における秩序と無秩序との間の量子ゆらぎによって、有限温度での物質の電子特性が変化する。この量子臨界は、超伝導体などの相関物質のさまざまな非従来型の状態と関連付けられてきた。今回N Husseyたちは、非従来型の超伝導体FeSe1−xSxにおいて、高磁場をかけドーピングxを選ぶことで、回転対称性が破れた、すなわちネマチック秩序がある相関電子状態を分離している。この分離されたネマチック秩序は、低温で測定した電気抵抗を評価することによってネマチック量子臨界と関係付けられた。これらの知見から、ネマチックゆらぎが、他の非従来型の超伝導体などの関連する量子臨界系でも不可欠なのか、あるいはこの物質特有の観測結果なのか、という問題が提起される。
2019年3月14日号の Nature ハイライト
微生物学:細菌の重要なシグナル伝達分子を合成する大きな酵素ファミリーが見つかった
量子物理学:ローレンツ対称性は破れていない
物性物理学:非従来型超伝導体のネマチック量子臨界
物性物理学:量子臨界点を示すもの
有機化学:配向基不要の選択的C–H官能基化
幹細胞:骨における幹細胞ニッチの樹立
微生物学:マラリア伝播を阻止する新しい戦略
がん:転移のための肝臓ニッチ
細胞シグナル伝達:p53に依存した代謝が腫瘍増殖を抑制する
細胞生物学:始原的なcGAS経路