注目の論文

物理学:雷雨におけるガンマ線に関する驚くべき発見

Nature

2024年10月3日

Physics: Striking discoveries about thunderstorm gamma rays

雷雨からのガンマ線の発生は、これまで考えられていたよりも一般的で、より多くの形態をとっている可能性があることを報告する2つの論文が、Natureに掲載される。これらの論文は、さまざまなタイプの放射がどのように相互に関連し、それらの起源を知る手がかりを示している。

これまでの研究では、雷雲による2種類のガンマ線放射が報告されてきた。地球ガンマ線フラッシュ(TGF:terrestrial gamma-ray flashes)として知られる高強度のバーストと、中強度のより長い継続時間のガンマ線グロー(gamma-ray glow )である。しかし、これらの放射の特徴やどのように発生するかは完全には理解されていない。研究者らは、2023年7月の10回の飛行中に航空機によって収集されたデータを使用して、カリブ海と中央アメリカの海洋と沿岸の雷雨の間に生成されたガンマ線放射を調査した。

Nikolai Østgaardらは、TGFよりも継続時間の長いパルス(TGFは最大100マイクロ秒であるのに対し、FGFは最大250ミリ秒)からなる、明滅ガンマ線フラッシュ(FGF:Flickering Gamma-ray Flashes)と呼ばれる異なるタイプのガンマ線放射を特定した。合計24のFGFが、10回の飛行のうち5回、ガンマ線グローを発する雷雲の上空を通過中に観測され、これらのFGFのうち17回は雷活動を伴っていた。著者らは、FGFはガンマ線グローとして始まり、その後急激に強度を増し、一連のパルスになる可能性を示唆している。FGFは、ガンマ線グローやTGFと同様の特徴を持つことから、著者らはFGFがこの2つの現象の関連性を示す証拠になると提案している。

付随する論文で、Martino Marisaldiらは、航空機によって検出されたガンマ線グローの特性を調査した。その中には、少なくとも3時間にわたって観測された、9,000平方キロメートル以上の領域を占める雷雲システムも含まれていた。著者らは、放射は一般的であり、光っている領域で均一ではないことを発見した。10回の飛行のうち9回の飛行で、調査地域全体で500以上のガンマ線グローが観測され、それぞれのグローは1秒から10秒の間持続した。これらの発見は、ガンマ線グローは最大数百秒持続し、最大20キロメートルの領域にわたって均一に放射されると報告していた以前の研究と矛盾する。

この発見は、雷雲から放射されるガンマ線についての理解を深めるものであり、グローと閃光の間に因果関係があること、そしてこれらの放射が雷の発生に関与している可能性を示唆している。
 

Østgaard, N., Mezentsev, A., Marisaldi, M. et al. Flickering gamma-ray flashes, the missing link between gamma glows and TGFs. Nature 634, 53–56 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07893-0

doi: 10.1038/s41586-024-07893-0

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