Abstract

原子レベルで精密な均一構造のカーボンナノ構造体

Nature Reviews Materials

2016年1月11日

Structurally uniform and atomically precise carbon nanostructures

原子レベルで精密な均一構造のカーボンナノ構造体
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ベンゼンユニットが独特な幾何パターンで配列したナノメートルサイズのカーボン材料(以下ナノカーボン)は、導電性、光吸収性、発光性の他、興味深い磁気特性を示す。球状のフラーレンC60、円筒状のカーボンナノチューブ、シート状のグラフェンは代表的な形態のナノカーボンであるが、理論的シミュレーションによって数種のエキゾチック3Dナノカーボン構造も予測されている。現在のカーボンナノチューブ合成法だと、大抵さまざまな構造と特性を持つ分子の混合物が生成してしまい、これらを分離・精製して純粋な分子を得ることが容易でない。ナノカーボン材料の精密合成は不可能と考えている研究者もいる。「純粋な」ナノカーボンを得ることはナノカーボン科学分野における大きな課題であり、ナノテクノロジー、エレクトロニクス、光学、生物医学への応用に向けた機能性材料の開発には均一構造の(理想的には単一分子のような)ナノカーボンの構築が不可欠である。本総説では、現在この目的に最も有望な有機化学的アプローチを、具体的には原子レベルで精密なボトムアップ型の構築方法を重点的に解説する。

Yasutomo Segawa, Hideto Ito and Kenichiro Itami

Corresponding author

伊丹 健一郎
名古屋大学大学院理学研究科 教授(現在に至る)
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 拠点長
JST-ERATO伊丹分子ナノカーボンプロジェクト 研究総括

doi: 10.1038/natrevmats.2015.2

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