【神経変性】パーキンソン病患者の免疫応答
Nature
2017年6月22日
パーキンソン病の自己免疫的な特徴と考えうるものが見つかったことを報告する論文が、今週、掲載される。この新知見は、パーキンソン病の原因に関する新たな手掛かりとなる可能性がある。
神経変性疾患に自己免疫的な特徴はないと一般に考えられているが、パーキンソン病と主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子の多様体(バリアント)との関連が数々の遺伝学的研究によって示されている。MHCタンパク質は、プロセシングされたタンパク質の短い断片と結合し、これらのタンパク質を細胞の表面に提示して、免疫系の細胞によってサンプリングできるようにしている。こうした短い断片のほとんどは免疫系によって認識されないが、いくつかの断片がT細胞応答を誘導しており、自己免疫の場合には不適切な誘導になっている。
パーキンソン病は、神経細胞に生じるタンパク質凝集体(αシヌクレイン)を特徴とし、それに加えてタンパク質のプロセシング異常を伴う。理論的には、このプロセシング異常が異常なタンパク質断片の生成と提示を引き起こし、これがT細胞によって認識され、図らずもT細胞を活性化してしまうと考えられる。今回、David Sulzerたちの研究グループは、パーキンソン病患者(67名)と健常対照者(36名)から得た試料を比較し、αシヌクレインに由来する特定のペプチドがパーキンソン病患者のT細胞によって認識されるが、健常対照者のT細胞によって認識されないことを報告している。以上の新知見は、パーキンソン病の根底に自己免疫応答があり、この自己免疫応答によってパーキンソン病とMHC遺伝子の遺伝的多様体との関連を説明できる可能性のあることを示唆している。
doi:10.1038/nature22815
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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