Research Press Release
【惑星科学】タイタンで冬を迎える時に大気中で何が起こるのか
Nature Communications
2017年11月22日
土星の最大の衛星であるタイタンの極域にあるホットスポットが、突如、急激に寒冷化した現象については、これまで説明ができていなかったが、今週掲載される論文には、大気中の微量ガスの増加が原因だった可能性が示されている。この現象の機構を解明するにあたっては、カッシーニ探査機による観測結果が利用された。
タイタンの極域の上層大気中にホットスポットが形成されることは、春分後に起こる季節的な現象なのだが、2012年に南極の上層大気中のホットスポットが、突如、急激に寒冷化して、強い冬の極渦が形成された。この現象は、さまざまなモデルで予測されていなかった。
今回、Nicholas Teanbyたちの研究グループは、過去13年間のカッシーニ探査機の観測データを用いて、タイタンの南極の大気中における極渦の形成と発達を調べた。その結果わかったのは、この大気中のホットスポットで、強い冷却効果のある微量ガスが生成され、その蓄積により2011年までの高温条件からコールドスポットに転じ、2012~2015年の間継続したことだった。
大気上層における冷却効果のある微量ガスの生成とその後の極渦の形成は、タイタンでしか観測されていない。なお、土星の大気に突入したカッシーニ探査機からの最後の観測データ(2016~2017年)は、ホットスポットが再び形成されている可能性を示唆している。
doi:10.1038/s41467-017-01839-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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