【地質学】ホウ素を含む濃いブルーのダイヤモンドから明らかになった岩石の再循環経路
Nature
2018年8月2日
このほど発掘されたホウ素を含むブルーダイヤモンドは、これまでで最も深い場所で見つかったダイヤモンドの1つとされ、その地球化学的履歴は地球の地殻再循環の程度を解明する手掛かりになる可能性のあることを報告する論文が、今週掲載される。
地球の表面の物質は、プレートテクトニクスによってマントル内に再循環するが、地殻の再循環の程度を解明することは困難だった。地表の物質が深部で再循環している可能性を示す証拠が、稀少なホウ素を含むブルーダイヤモンド(IIb型ダイヤモンド)で、有名なホープダイヤモンドはその1例だ。ホウ素は、大部分が地殻元素であるため、ダイヤモンドを形成するマントル流体中に存在するホウ素は謎に満ちており、地殻とのつながりが示唆されている。ところが、ダイヤモンドが稀少で貴重なことに加えて、タイヤモンドの形成のヒントとなり得る鉱物包有物が一般に存在していないことから、ダイヤモンドの起源を突き止めることが難題となっている。
今回、Evan Smithたちの研究グループは、数十万点の候補試料のスクリーニングを行った上で、ラマン分光法を用いて、46個のIIb型ダイヤモンドに含まれる稀少な包有物の特徴を明らかにした。安定した大陸地殻と上部マントルを起源とし、通常はケイ酸塩包有物や硫化鉱物包有物を持つダイヤモンドとは異なり、ブルーダイヤモンドは、海洋プレートが下部マントルに沈み込んだ後に見られることが予想される鉱物相が含まれている。このことから、IIb型ダイヤモンドの起源は、既知の中で最も深い場所にあると考えられる。また、ブルーダイヤモンドの包有物の一部を取り巻く液体水素とメタン溶液は、元となる鉱物の水和があったことを示している。海洋プレート中のホウ素供給源の中で、沈み込みの際に安定を保つ可能性が最も高いのが蛇紋岩で、水を保持することができるため、以上の研究知見は地球の深部での水の再循環の主要経路の1つを示しているかもしれない。
doi:10.1038/s41586-018-0334-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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