Research Press Release

集約的畜産を監視する機械学習

Nature Sustainability

2019年4月9日

機械学習を応用して、米国の集約的畜産施設の地図を手作業での調査よりも速く、かつ効率的に作製できることを報告する論文が、今週掲載される。その結果、ノースカロライナ州でこうした施設が新たに589か所特定されており、機械学習の応用は食品産業における環境違反の追跡に役立つ可能性がある。

集中家畜飼養施設(CAFO)は、米国の家畜の約40%を生産し、毎年約3億3500万トンの廃棄物を生み出している。米国のCAFOの約60%は登録されておらず、廃棄物処理の適切な許可を得ていないので、食品の安全性と水や土壌の汚染に深刻な影響を及ぼす可能性がある。米国の現在の法制度は、政府機関によるそうした施設の監視を困難にしている。そのため今のところ、CAFOの数、規模、位置に関する正確なデータはない。

今回Daniel HoとCassandra Handan-Naderは、機会学習法と高分解能画像を用いて米国ノースカロライナ州のCAFOを特定し、その結果と手作業による一覧表を比較している。この手法によって、これまでの手作業の調査と比べて、新たな家禽CAFOが589か所特定され、把握されているCAFO数が15%増加した。

著者たちは、今回の手法によって許可されていない施設や特に環境リスクの高い施設を特定することで、CAFOによる環境法の順守の監視が容易になると示唆している。

doi:10.1038/s41893-019-0246-x

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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