【物理学】シャボン玉が凍る仕組み
Nature Communications
2019年6月19日
シャボン玉が凍る仕組みと「スノードーム効果」と呼ばれる現象の発生原因に関する見識を示す論文が、今週掲載される。
特定の条件下でシャボン玉が凍ると、氷の結晶が成長してシャボン玉の中で浮遊し、スノードームを連想させるような視覚効果が観察される。しかし、この現象の基盤をなす物理的性質とシャボン玉の凍結様式についての研究は行われていなかった。
今回、Jonathan Boreykoたちの研究グループは、凍結するシャボン玉の動力学を支配する熱伝達過程を調べ、さまざまな周囲温度下で冷却された氷の表面にシャボン玉を静置し、その凍結過程を撮影した。この実験で、温度に依存して2つの異なる凍結機構が生じることが観察された。
周囲温度とシャボン玉の温度が同じ場合には、シャボン玉の底部から凍結が始まり、マランゴニ流(表面張力の小さい領域から大きい領域への液体の流れ)が生じ、氷の結晶が凍結前線から剥離して、スノードーム中のフレークのようにシャボン玉の中を浮遊する。その後、氷の結晶が成長し、互いに連結すると、シャボン玉は完全に凍結する。一方、周囲温度が室温である場合には、凍結前線がゆっくりと上方に伝播したが、熱伝導性が悪いために、最終的にはシャボン玉の途中で停止した。この部分的に凍結したシャボン玉はその後、平衡状態を保った後にしぼんで、この液体ドームは崩壊した。
Boreykoたちは、この知見が熱伝達現象の理解を深めるために役立つという見解を示している。
doi:10.1038/s41467-019-10021-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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