免疫学:SARS-CoV-2感染後の免疫は長期間持続する
Nature
2021年6月14日
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染に応答して産生される抗体は、感染後6~12か月間に進化し続け、ワクチン接種によって増強されることを明らかにした論文が、Nature に掲載される。今回の研究結果は、以前にSARS-CoV-2に感染した人の免疫が長期間持続する可能性があり、回復期にある人がワクチン接種を受けると、循環血液中のSARS-CoV-2変異株に対する感染防御効果が得られる可能性が高いことを示唆している。
今回、Michel Nussenzweigらの研究グループは、2020年にCOVID-19から回復した者(63人)の血液試料を分析した。そのうちの26人は、モデルナ製ワクチンまたはファイザー/バイオンテック製ワクチンの接種を少なくとも1回受けていた。感染後6~12か月間に記憶B細胞が産生した一連の抗体は、反応幅が広がり、力価が上昇し、その後、ワクチン接種を受けた者の体内では、記憶B細胞が、懸念される変異株を含むSARS-CoV-2変異株に対して非常に有効な抗体を産生するようになった。
SARS-CoV-2感染から1年後、今回の研究の対象となった全ての型のウイルスに対する中和活性は、ワクチン接種を受けた者よりも受けていない者の方が低かった。このことは、ワクチン接種によってSARS-CoV-2感染歴のある者の免疫が高まることを暗示している。また、Nussenzweigたちは、SARS-CoV-2感染歴がなく、ワクチン接種を受けた人の体内でB細胞が同じように進化するのであれば、適切な時期に追加ワクチンを接種することで、循環中のSARS-CoV-2変異株に対する感染防御免疫が生じる可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41586-021-03696-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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