地球科学:超剪断地震はこれまでの推定よりも一般的である
Nature Geoscience
2022年11月1日
2000〜2020年に起きた横ずれ大地震の少なくとも14%は超剪断地震であったことを報告する論文がNature Geoscienceに掲載される。この発見は、そのような破壊的な地震が、これまで考えられていたよりも50%以上多いことを示唆している。
超剪断地震は、断層破壊の速さが生成される地震波の伝播速度よりも大きいときに生じる。このような地震は一般的には陸上で観測され、速い破壊速度がより強い地動を生成し得るので非常に破壊的となることがある。このような地震はまれであると考えられており、これまでに超剪断と分類されたのは、横ずれ断層(地球の地殻の2つのブロックが水平に互いにすれ違う断層)によって起きた数個の大地震のみであった。
今回、Lingsen Mengたちは、過去20年間に起きた全ての大きなマグニチュード(Mw)の横ずれ断層地震(Mw 6.7以上)の地震データを解析し、これまで報告されていなかった4つの超剪断事象を特定した。評価した地震のうちの14%が超剪断と決定され、これはこれまで確定された値より50%大きい。この新たに認識された地震は全て海洋下で起きており、超剪断地震は陸上と同様に海洋でも一般的であることを示唆している。これらの地震が起きた断層の観測結果から、断層領域が大きいと超剪断地震を増長させる可能性があることが分かった。海洋と大陸の境界における断層のように、断層をまたぐ物質が対照的であることも要因になり得る。
著者たちは、今回新たに特定された超剪断地震は、超剪断地震がこれまで考えられていたよりもまれではないことを示唆しており、どのような条件がそうした高速の破壊を生成させるかを理解するのに役立つと結論している。
doi:10.1038/s41561-022-01055-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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