地球科学:ハワイ島の火山はおもちゃのストンプロケットのように噴火したのかもしれない
Nature Geoscience
2024年5月28日
ハワイ島のキラウエア火山で起きた爆発的噴火は、おもちゃのストンプロケット(足踏み式のエアーロケット)の動きに似た機構によって生じた可能性があることを示唆した論文が、Nature Geoscienceに掲載される。この知見は、火山から噴出し、ヒトの健康に有害で社会の混乱をもたらし得る高温ガスの大気プリュームと岩石粒子が形成される理由を説明できる可能性がある。
爆発的噴火は典型的には、溶けた岩石(マグマ)の上昇か、マグマが加熱した地下水の蒸気の膨張のどちらかにより駆動される。しかし地質学者たちは、2018年5月のキラウエア火山の噴火で、これらの機構では説明できない12回の噴火を特定していた。
今回、Josh Crozierらは、こうした機構の代わりに、おもちゃのストンプロケットに似た機構がこの2018年のハワイ島の噴火を説明できる可能性があると示唆している。Crozierらは、地球物理学的データを用いてマグマだまりの圧力変化を特定し、3Dモデルを用いて噴出するプリュームの上昇をシミュレーションした。Crozierらは、2018年5月のキラウエア火山噴火の観測は、マグマだまりが崩壊してマグマだまり内に捕捉されていたガスの圧力が急速に上昇し、ガスで満たされた空洞を持つストンプロケットが踏みつけられてロケットが空に打ち上がるのと同様に、爆発的噴火をもたらしたことと矛盾しないと示唆している。
Crozierらは、このようなストンプロケットの機構は2018年のキラウエア火山噴火に特有のものではなく、過去100年間に他の複数の火山で起きた崩落的噴火に関係している可能性があると指摘している。またCrozierらは、崩落が原因となった噴火によるプリューム形成の力学的性質を理解することは、飛行機や地域住民に対する災害予測に役立つ可能性があると述べている。
doi:10.1038/s41561-024-01442-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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