工学:太陽電池で動く小型飛行ロボット
Nature
2024年7月18日
持続的な飛行が可能な超軽量の太陽光発電式マイクロ航空機に関する論文が、Natureに掲載される。この装置は、太陽光を動力源とする既存の航空機よりも軽量かつ小型であり、長距離ならびに長時間の空中偵察に利用できる可能性がある。
マイクロ航空機は、通信や環境救助と監視に役立つ可能性がある。しかし、現在のマイクロ航空機は耐久性が短く、重量が10グラム未満のものは、飛行時間が10分未満であることが多く、有用性が限られている。従来の航空機は、電磁モーターを使用しており、その効率は、機体のサイズが小さくなるにつれて低下する。太陽光は代替のエネルギー源である。しかし、現在の太陽光発電機では、この方法でテザーなし飛行を実現することはできない。
こうした課題に対処するため、Mingjing Qiらは、テザーなし飛行が可能な超軽量の太陽光発電式マイクロ航空機「CoulombFly」を設計した。CoulombFlyの重量は、4.21グラムで、自然光条件下で持続的な飛行を達成した。この装置は、モーターと10センチのプロペラからなる静電推進システムに、高電圧電力変換器と太陽電池を組み合わせたものである。これにより、この装置は高い揚力対電力効率と低消費電力を実現している。太陽電池は、低い直流(DC)電力を生成し、電力変換器によって高いDC電圧に変換される。この高いDC電力はモーターに送られ、ローターを回転させ、プロペラを駆動するトルク(回転する力)を発生させ、装置を上昇させる。耐久性テストでは、この装置は性能が劣化することなく、1時間の飛行を維持することができた。
著者らは、CoulombFlyがこれまでに設計された中で、最も軽量かつ小型の太陽光発電による航空機であることを示唆している。著者らは、CoulombFlyのシステムによって、このような装置の耐久性が向上し、将来的な応用の可能性が広がったと主張している。
Shen, W., Peng, J., Ma, R. et al. Sunlight-powered sustained flight of an ultralight micro aerial vehicle. Nature 631, 537–543 (2024).
doi:10.1038/s41586-024-07609-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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