人工知能:AIが生成した詩は人間が書いた詩よりも好まれる
Scientific Reports
2024年11月15日
読者は、人工知能(AI:Aritificial Intelligence)が生成した詩と人間が書いた詩を確実に区別することができず、AIの詩を好む傾向にあるという新しい研究を報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。AIの詩を肯定的に評価するこの傾向は、人間が書いた詩の複雑さをAIが作り出した支離滅裂さだと読者が誤解し、生成AIがどれほど人間らしく見えるかを過小評価していることが原因であるかもしれない。
Brian PorterとEdouard Macheryは、1,634人の参加者がAIから生成された詩と人間による詩を区別できるかどうかをテストした。参加者は、ランダムな順番で10編の詩を提示された。5編は、ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)、バイロン卿(Lord Byron)、エミリー・ディキンソン(Emily Dickinson)、およびT.S.エリオット(T.S. Eliot)など、著名な詩人10名が書いた詩であり、残りの5編は、これらの詩人のスタイルでChatGPT(Generative Pre-trained Transformer)3.5が生成した詩である。参加者は、AIが生成した詩を人間が書いたものと推測する傾向が強く、人間が書いたものではないと推測された5編の詩は、すべて本物の詩人によって書かれたものだった。
2つ目の実験では、別の696人の参加者が、質、美しさ、感情、リズム、および独創性など14の特性について詩を評価した。参加者はランダムに3つのグループに分けられ、詩が人間によって書かれたもの、AIによって生成されたもの、あるいは詩の作成元に関する情報が一切与えられないグループに分けられた。AIが生成した詩であると告げられた参加者は、詩が実際にAIから生成されたものか人間が書いたものかに関わらず、人間が書いた詩であると告げられた参加者と比較して、13の特性すべてにおいて低い評価を下した。作者について何も告げられなかった参加者は、人間が書いた詩よりもAIから生成された詩をより好意的に評価した。
著者らは、著名な詩人の作品よりもAIから生成された詩の方がより率直で親しみやすいという理由で、参加者がAI詩を好んだのではないかと示唆している。さらに、参加者は人間が書いた詩を好むと予想しており、AIから生成された詩の方が解釈や理解しやすいと感じているため、この傾向により、その詩が人間によって書かれた作品であると誤解している。
Porter, B., Machery, E. AI-generated poetry is indistinguishable from human-written poetry and is rated more favorably. Sci Rep 14, 26133 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-76900-1
doi:10.1038/s41598-024-76900-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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