食品:「完璧な」ゆで卵の作り方を解明
Communications Engineering
2025年2月7日
ゆで卵の黄身と白身(卵白)を最適に調理する新しい方法を報告する論文が、Communications Engineering に掲載される。著者らが「周期的調理(periodic cooking)」と呼ぶこの方法では、従来のゆで方や真空調理法で調理した殻付き卵よりも栄養価の高い、均一に火の通った卵ができる。
鶏卵の卵黄と卵白は、2つの異なる温度で調理される。卵白は85℃で、卵黄は65℃で調理される。従来の方法では、100℃で固ゆでにすると黄身が完全に固まってしまうが、60–70℃の温度で1時間水浴で調理する(いわゆる「真空調理法〔sous vide〕」)と、白身が十分に火が通らない。
Pellegrino Mustoらは、まず数値流体力学ソフトウェアでプロセスをシミュレーションし、常に安定した調理ができる方法を開発した。シミュレーションの結果、卵を100℃に保った沸騰水の入った鍋と30℃に保ったボウルに交互に入れ、2分ごとに卵を入れ替えて、合計32分間調理する方法が示された。その後、著者らはこのプロセスを実際の生活で試して食品サンプルを作り、それを「周期的調理」と名付けた。 分析には、固ゆで卵、半熟ゆで卵、真空調理卵も含まれた。調理後の卵は、その食感と味覚特性がテストされ、核磁気共鳴法(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)と高分解能質量分析法(HRMS:High-Resolution Mass Spectrometry)を用いて化学的性質が評価された。
周期的に調理された卵は、真空調理された卵と同様に黄身が柔らかく、白身の固さは真空調理と半熟ゆで卵の中間であった。調理中の周期的調織された卵白の温度は、35–100℃の間で推移したが、黄身の温度は、67℃で一定だった。化学分析の結果、周期的調理された卵黄には、健康効果があるとして研究が進められている微量栄養素であるポリフェノールをより多く含むことが示唆された。
著者らは、このアプローチが他の物質の硬化や結晶化にも応用できる可能性があると信じている。
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- Published: 06 February 2025
Di Lorenzo, E., Romano, F., Ciriaco, L. et al. Periodic cooking of eggs. Commun Eng 4, 5 (2025). https://doi.org/10.1038/s44172-024-00334-w
doi:10.1038/s44172-024-00334-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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