Research Press Release

窒化ウランの新たな一面

Nature Chemistry

2010年7月12日

光照射によって活性化させると窒素を失いウラン窒化物錯体を生成するウラン錯体が、Nature Chemistry(電子版)で報告される。末端に窒化ウラン部をもつ化合物を合成・研究することによって、核燃料代替候補の合成・再処理に関する重要な知見が得られるであろう。

原子力はエネルギー供給の重要要素であり、窒化ウランは、原子力の未来に大きな可能性をもたらす有望な核燃料である。しかし、窒化ウランの主要部分であるウラン-窒素三重結合については、ほとんど知られていない。

J Kiplingerらは、光と相互作用してウラン-窒素末端三重結合を形成するウラン-窒素錯体を合成した。これは、そのような化合物が光によって生成した初めての例である。そのウラン-窒素末端三重結合をもつ錯体は短寿命であるが、反応性が高く、強力な炭素-水素結合を開裂させ、新たに窒素-水素結合と窒素-炭素結合を形成させる。これは、ウラン-窒素三重結合が不活性ではなく、強力な結合と反応可能であることを示すものである。

doi:10.1038/nchem.705

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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