マイクロRNAの標的を検証する
Nature Methods
2010年9月13日
数百個のマイクロRNA標的遺伝子を1回の実験で検証する高感度で再現性のある方法が、Nature Methods(電子版)で発表される。この成果は、そうした標的遺伝子がどのように調節されるのかを解明するのに役立つ。
マイクロRNAという短いRNA分子は、タンパク質をコードしていないが、翻訳を遮断したり分解するRNAに目印をつけたりすることによって遺伝子発現を調節しており、極めて重要なものである。特異的なマイクロRNAの標的をコンピューターアルゴリズムで予測することはできるが、予測された標的を大規模に検証する実験的な方法が必要である。
M Hengartnerたちが発表するのは、コンピューターで予測された線虫Caenorhabditis elegansのマイクロRNA標的遺伝子を追跡するプロテオミクス的方法である。let-7という特定のマイクロRNAが調節する遺伝子を明らかにするため、研究チームは、正常な線虫のタンパク質レベルとlet-7レベルが低い変異線虫のタンパク質レベルとを比較した。研究では、選択反応モニタリング(SRM)質量分析法と呼ばれる高感度な検出技術が、同位体コード親和性標識法(ICAT)という定量法と組み合わせて利用された。正常な線虫との比較で変異線虫のタンパク質レベルが変化すれば、それはその遺伝子が実際にlet-7によって調節されているということである。
この一般性のある方法は、あらゆる生物のあらゆるマイクロRNAに関して予測された標的遺伝子の検証にすぐさま利用可能と考えられる。
doi:10.1038/nmeth.1504
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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