Volume 418 Number 6899

今週のハイライト

目次

News & Views

マラリア:多人数を対象とできるマラリア診断法

Malaria: Mass tool for diagnosis p.731

マラリアに感染しているかどうか、またどの程度重症なのかを、効率よく、しかも高感度で診断できる方法があれば、治療もやりやすくなるだろう。質量分析を使ったハイテク診断法により、この問題が解決されるかも知れない。

doi: 10.1038/418731a

細胞運動:細胞運動を調節するWAVEタンパク質

Cell motility: Braking WAVEs p.732

細胞は、移動の際に細胞内骨格を変形させて、進行方向の膜を前に押しだし、後ろ側の膜を内側に引き込む。この過程の調節についてはわからない部分が残っていたのだが、その一部が新たな研究により解明された。

doi: 10.1038/418732a

超伝導:二重ギャップは要注意

Superconductivity: Mind the double gap p.733

二ホウ化マグネシウムの超伝導は予想外に高い温度で起こる。この物質には、超伝導性に影響を与える「二重エネルギーギャップ」という長い間探し求められていた独特の構造があることが、このほど明らかにされた。

doi: 10.1038/418733a

シグナル伝達 :コーヒーから始まる正のフィードバック

Signal transduction: Positive feedback from coffee p.734

カフェインは神経細胞に作用し、私たちははっきりと目が覚める。カフェインは、タンパク質を介したシグナル伝達経路を通じて作用し、この伝達経路には正のフィードバックループが関わっている。そして、このフィードバックループが細胞内からカフェインの効果を後押ししているのだ。

doi: 10.1038/418734a

地球科学:崩壊するプレート

Earth science: Breaking plates p.736

北西太平洋の海洋プレートが地球のマントルに沈み込むにつれて崩壊していったことが地震波画像で示唆されている。ここから同地域にはマグマ噴出量の多い火山がある一方で、活動を停止した火山がある理由を説明できるかもしれない。

doi: 10.1038/418736a

発生生物学:受け継がれてきたシグナル伝達法

Developmental biology: Signalling legacies p.737

従来、肢の発生を調節するシグナルは、昆虫と脊椎動物ではちがうと考えられていた。だが、新たな研究によりその類似性が明らかになった。これは進化の過程を考えるのに関わってこよう。

doi: 10.1038/418737a

高エネルギー物理学:「リトル・ヒッグス」説に一票を

High-energy physics: Vote for Little Higgs p.738

ヒッグス粒子は、まだ見つかっていないため、物理学者は、その存在に疑いを持ち始めているのだろうか?ヒッグスの考え方を再構成した「リトル・ヒッグス」説は興味をそそる学説で、ヒッグス粒子の発見が相当に近いことを示唆している。

doi: 10.1038/418738a

凝縮体:ボース粒子は奥が深い

Condensed matter: Scratching the Bose surface p.739

自然界にはフェルミ粒子とボース粒子という2つの異なるタイプの粒子が存在している。ところがボース-アインシュタイン凝縮に特有の低温状態においては、ボース粒子がフェルミ粒子系と似た特徴をもつ可能性があるらしいのだ。

doi: 10.1038/418739a

生理学:筋繊維のタイプを決める調節因子

Physiology: Muscle regulator goes the distance p.740

「速く収縮する」速筋繊維を「遅く収縮する」ものに変えてしまうタンパク質が、マウスで発見された。このタンパク質が働くと、マウスから単離した筋肉が通常よりもずっと長時間にわたって収縮し続けるようになった。

doi: 10.1038/418740a

Article

Letters

物理:励起子系における巨視的な秩序状態

Macroscopically ordered state in an exciton system p.751

doi: 10.1038/nature00943

物理:結合量子井戸における励起子の暗状態での長距離輸送

Long-range transport in excitonic dark states in coupled quantum wells p.754

doi: 10.1038/nature00940

材料:MgB2の特異な超伝導特性の起源

The origin of the anomalous superconducting properties of MgB2 p.758

doi: 10.1038/nature00898

地球:化学的境界層がマントルプリュームの不変性、空間配置及び寿命にもたらす影響

The influence of a chemical boundary layer on the fixity, spacing and lifetime of mantle plumes p.760

doi: 10.1038/nature00979

地球:カムチャツカの下で突然生じたスラブ損失の地震学的証拠

Seismic evidence for catastrophic slab loss beneath Kamchatka p.763

doi: 10.1038/nature00973

進化:四肢動物と肺魚の共通祖先に近い原始的魚類

A primitive fish close to the common ancestor of tetrapods and lungfish p.767

doi: 10.1038/nature00871

環境:アマゾン川流域の森林における大型蔓植物の優占度の上昇

Increasing dominance of large lianas in Amazonian forests p.770

doi: 10.1038/nature00926

生理:カフェインの興奮作用におけるDARPP-32リン酸化の関与

Involvement of DARPP-32 phosphorylation in the stimulant action of caffeine p.774

doi: 10.1038/nature00817

医学:マウスに移植した哺乳類新生仔の精巣で作られる精子

Sperm from neonatal mammalian testes grafted in mice p.778

doi: 10.1038/nature00918

発生:EGF受容体活性の勾配によるショウジョウバエ脚の遠近形成

Distalization of the Drosophila leg by graded EGF-receptor activity p.781

doi: 10.1038/nature00971

医学:マラリアモデルで抗毒素ワクチン候補とされる合成GPI

Synthetic GPI as a candidate anti-toxic vaccine in a model of malaria p.785

doi: 10.1038/nature00937

細胞:Rac1とNckによるWAVE1誘導型アクチン重合核形成の調節メカニズム

Mechanism of regulation of WAVE1-induced actin nucleation by Rac1 and Nck p.790

doi: 10.1038/nature00859

生理:アブシジン酸活性化プロテインキナーゼによるRNA結合タンパク質の調節

Modulation of an RNA-binding protein by abscisic-acid-activated protein kinase p.793

doi: 10.1038/nature00936

細胞:転写コアクチベーターPGC-1αは、収縮の遅い速筋繊維を形成させる

Transcriptional co-activator PGC-1 drives the formation of slow-twitch muscle fibres p.797

doi: 10.1038/nature00904

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