Nature ハイライト

がん:膵臓の正常な恒常性から腫瘍発生へ

Nature 597, 7878

腫瘍形成の初期段階は非常に興味深い。膵臓では正常な恒常性が維持されている間、組織はクローン増殖によって再生することができる。一部の細胞が発がん性変異を獲得すると、この過程に異常が生じ、前がん病変の形成につながる場合がある。S Artandiたちは今回、テロメラーゼ逆転写酵素を高レベルで発現するまれな腺房細胞の細胞系譜追跡を行い、このような病変の起源について新たな手掛かりを得ている。これらの細胞は正常な恒常性に関与しているが、Kras変異を維持している場合には、異常な膵管への分化転換や新生物形成を起こす。またこれらの細胞は、MAPKシグナル伝達の増幅を伴うヒト膵臓がんで頻繁に見られる。

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