Nature ハイライト
分子生物学:腫瘍抑制における相分離
Nature 597, 7878
生物学で相分離が担う生理的役割の範囲は次第に広がりつつある。今回H Jiangたちは、よく知られているX連鎖腫瘍抑制因子でヒストンデメチラーゼでもあるUTXが相分離を起こす仕組みを明らかにし、これがUTXの機能に不可欠なことを示している。UTX凝縮体の中にはヒストンメチルトランスフェラーゼMLL4(別名KMT2D)も見つかり、別々の区画内でこの2つの活性が共に高まっていた。Y染色体上の類似タンパク質UTYはより強い相分離を起こすが、腫瘍抑制活性は低い。これはおそらく、UTY凝縮体中ではタンパク質の運動性が低いからだろう。
2021年9月30日号の Nature ハイライト
惑星科学:火星における湖の洪水
物性物理学:2Dウィグナー結晶の画像化
材料科学:層間回転したファンデルワールス膜における異方性熱伝導体
計算機科学:降水量の準リアルタイム予測
生態学:植物と花粉媒介者の相互作用は希少種に有利に働く
神経科学:ニューロンのサブタイプ出現の誘導
コロナウイルス:ニューヨークでのSARS-CoV-2変異株の追跡
がん:膵臓の正常な恒常性から腫瘍発生へ
分子生物学:CRISPRエフェクターの進化を追跡する
分子生物学:腫瘍抑制における相分離
がん:EFGR変異体の薬剤感受性を構造によって分類する