Nature ハイライト
Cover Story:都市で失われるもの:格子状に計画された都市環境は将来の空間ナビゲーション能力の妨げになる
Nature 604, 7904
表紙は、米国シカゴの格子状の市街地図と、より雑然としたチェコ共和国プラハのレイアウトを重ね合わせたものである。今回A Coutrotたちは、成育環境が認知のさまざまな側面にどのような影響を及ぼし得るかを明らかにしている。彼らは、この研究のために設計されたビデオゲームを用いて、世界の38か国の約39万7000人の空間ナビゲーション能力を評価した。その結果、都市の外で育った人々のナビゲーション能力が最も優れていることが見いだされた。さらに著者たちは、シカゴなどの街路が規則正しく格子状に計画された都市で育った人々は、育った都市に似た環境のナビゲーションはできたが、プラハのような古都の、より雑然とした市街のナビゲーションはあまりうまくできなかったことも示している。著者たちは、今回の結果はヒトの認知と脳機能における都市設計の重要性を実証していると示唆している。
2022年4月7日号の Nature ハイライト
惑星科学:系外惑星におけるケイ酸塩の雲の形成
原子核物理学:マヨラナニュートリノ探索がもたらす展望
ナノスケール材料:トランジスターの性能を向上させる新たなゲート酸化膜構造
材料化学:事前組織化による共有結合有機構造体の形成
ナノスケールデバイス:分子「燃料」を用いた方向性回転
神経科学:極めて安定なコウモリの海馬符号
人間行動:ヒトの末梢気道の網羅的マップ
発生生物学:ヒト末梢気道で見つかった分泌細胞集団は肺胞を再生できる
植物科学:植物フィトクロムBの非対称な二量体構造
コロナウイルス:SARS-CoV-2に対する抗ウイルス薬併用の相乗効果
免疫学:胚中心反応の持続がもたらす強力な抗体応答
腫瘍生物学:ゲノム重複で遺伝的不安定性が生じるタイミング
分子生物学:ヌクレオチド除去修復に、これまでとは逆の見方
分子生物学:ポリコーム標的遺伝子の抑制に関わるRNA分解複合体
分子生物学:タンパク質のアロステリック効果の全体像を網羅的に調べる方法
炎症:サイトカイン放出阻害剤が結合したNLRP3の構造
構造生物学:GABA-A受容体の組み立てとシグナル伝達
構造生物学:ヒアルロン酸合成の構造学的基盤