Nature ハイライト
ナノスケール材料:トランジスターの性能を向上させる新たなゲート酸化膜構造
Nature 604, 7904
トランジスターを数ナノメートルに縮小すると、量子トンネル効果に起因するリーク電流などの問題が生じる。これに対処するため、ゲート誘電体として数ナノメートル厚のHfO2などの高誘電率材料を用いて、キャパシタンスが増大され短チャネル効果が抑制されている(酸化膜が薄いほどキャパシタンスは大きくなる)。今回S Cheemaたちは、ゲートスタックとしてHfO2–ZrO2超格子ヘテロ構造を調べ、2 nm厚の酸化膜スタックによって、HfO2単層などの、現在市販のトランジスターに用いられている高誘電定数ゲートスタックよりもキャパシタンスを大きくできることを見いだしている。この超格子ゲートスタックを組み込んだトランジスターでは、信頼性や移動度の低化は見られなかった。キャパシタンスの増大は、超格子スタックにおける強誘電性秩序と反強誘性秩序の混在に起因する。
2022年4月7日号の Nature ハイライト
惑星科学:系外惑星におけるケイ酸塩の雲の形成
原子核物理学:マヨラナニュートリノ探索がもたらす展望
ナノスケール材料:トランジスターの性能を向上させる新たなゲート酸化膜構造
材料化学:事前組織化による共有結合有機構造体の形成
ナノスケールデバイス:分子「燃料」を用いた方向性回転
神経科学:極めて安定なコウモリの海馬符号
人間行動:ヒトの末梢気道の網羅的マップ
発生生物学:ヒト末梢気道で見つかった分泌細胞集団は肺胞を再生できる
植物科学:植物フィトクロムBの非対称な二量体構造
コロナウイルス:SARS-CoV-2に対する抗ウイルス薬併用の相乗効果
免疫学:胚中心反応の持続がもたらす強力な抗体応答
腫瘍生物学:ゲノム重複で遺伝的不安定性が生じるタイミング
分子生物学:ヌクレオチド除去修復に、これまでとは逆の見方
分子生物学:ポリコーム標的遺伝子の抑制に関わるRNA分解複合体
分子生物学:タンパク質のアロステリック効果の全体像を網羅的に調べる方法
炎症:サイトカイン放出阻害剤が結合したNLRP3の構造
構造生物学:GABA-A受容体の組み立てとシグナル伝達
構造生物学:ヒアルロン酸合成の構造学的基盤