Nature ハイライト
Cover Story:鳥類のブルース:保護区は水鳥に対してまちまちな結果を示すが、保全の管理によってうまくいく可能性が高まる
Nature 605, 7908
表紙写真のハイイロペリカン(Pelecanus crispus)などの水鳥を保護する取り組みでは、保護区を作って適切な生息地を維持することに重点が置かれている。しかし、保護区が種の個体群にどの程度の影響を及ぼすかは、よく分かっていない。今回H Wauchopeたちは、保護区が水鳥個体群に及ぼす影響がまちまちであることを示唆する解析結果を提示している。著者たちは、全世界の1506か所の保護区を調べ、それらが2万7055の水鳥個体群にどのような影響を及ぼしたか評価した。保護区の設定前後の個体群を評価し、保護区と非保護区でこの変化を比較することによって、多様な影響だけでなく、個水鳥やその生息地のために管理された保護区では個体群が利益を得られる可能性が高いことも強く示唆された。その結果として著者たちは、保全戦略には、保護区の数を増やすだけでなく、保護区を積極的に管理して成功の可能性を最大にする必要があると示唆している。
2022年5月5日号の Nature ハイライト
天文学:三重星に見つかったブラックウィドウ候補天体
量子物理学:ネオンを使った新たなキュービット
物性物理学:対称性の破れの可視化
ナノスケール材料:2層二硫化モリブデンのエピタキシャル成長
材料科学:繊毛のように動く人工微小構造
化学:有機触媒による小分子ケトンのシアノシリル化
食料生産:反芻動物肉を代替品で置き換える意義
生態学:農業の集約化と気候変動が昆虫個体群に及ぼす影響
人間行動学:ブレインストーミングは対面で
微生物学:酵母のイントロンの新たな役割が明らかに
発生生物学:ゼブラフィッシュ幼生の表層上皮細胞は非合成分裂する
幹細胞:ヒトiPS細胞からの涙腺オルガノイドの作製
生物海洋学:海洋微生物相を形作る走化性
免疫学:自然免疫様キラーT細胞によるがん免疫
コロナウイルス:PGD2シグナル伝達阻害によるSARS-CoV-2重症化予防
アテローム性動脈硬化症:末梢神経は動脈内部のアテローム性プラークに接触して疾患を進行させる
構造生物学:ヒトクロマチンリモデリング複合体PBAFのクライオ電子顕微鏡構造
構造生物学:イオンチャネル型グルタミン酸受容体のゲート開閉