Nature ハイライト
Cover Story:流体力学:人工繊毛によって得られる表面の液体の流れの制御
Nature 605, 7911
繊毛は、細長い糸状の突起を特徴としており、生物はこれを使って流体の流れをマイクロスケールで制御している。しかし、こうした構造を模倣し繊毛に似たシステムを設計して幅広く応用する取り組みは、難しいことが分かっている。今回W Wangたちは、表面付近の液体に流れパターンを生成するのに使用できる、電子的に制御された人工繊毛について報告している。彼らは、表面実装した白金ストリップを用いており、このストリップは、それぞれの長さが50 μm、幅が5 μm、厚さが10 nmで、片側がチタンで覆われている。この繊毛に、振幅が約1 Vの振動電位をかけると、露出した白金表面でイオンが出入りする。このイオンによって、非対称な力が生じて拍動パターンが生まれ、このパターンを用いて表面の液体をポンピングしてさまざまな流動形状を生み出すことができる。表紙は、作動している人工繊毛の想像図である。
2022年5月26日号の Nature ハイライト
地球科学:海洋プレート内の炭素貯蔵庫の進化
惑星科学:火星で初めて録音された音
プラズマ物理学:卓上加速器で実証された自由電子レーザー発振
量子情報:量子インターネットに向けて
量子物理学:量子誤り訂正への小さな歩みの繰り返し
量子物理学:フォールトトレラントな汎用量子ゲート操作
化学:コバルト電極触媒を用いた水素原子移動
生物地球化学:海洋酸性化で実は減少する珪藻類
進化学:脊椎動物の頭部感覚神経節の進化的起源
化学生態学:蚊がヒトを嗅ぎ分ける仕組み
神経科学:不安定性から安定性を生み出す
神経科学:プルキンエニューロンの可塑性が運動学習を促す
腫瘍免疫学:炎症組織内の腫瘍固有の免疫変化
分子生物学:細胞内の脂質を監視する仕組み
腫瘍生物学:代謝不均一性もがん転移を促進する
遺伝学:遠く離れた遺伝子の転写を同時に調節する
エピジェネティクス:卵母細胞のTET3酵素レベルが子孫の耐糖能異常につながる
生化学:プライマーゼ-ポリメラーゼによるプライマー合成の機構