Nature ハイライト
Cover Story:カオスから生じる秩序:染色体不安定性の一覧からがんにおけるゲノム変化に関する知見が得られる
Nature 606, 7916
表紙は、さまざまながん細胞を絵画で表現したものである。染色体不安定性に見られるDNAの大規模な獲得、喪失、再編成は、がんの典型的な特徴だが、こうしたゲノムの多様性の原因と疾患との関連の可能性を解読するための包括的な枠組みはない。今回F MarkowetzとG Macintyreたちは、染色体不安定性の17のシグネチャーの一覧と共にそうした枠組みを提示している。この枠組みは、腫瘍が薬剤にどのように反応する可能性があるか予測するのに用いることができるとともに、将来の治療標的の特定にも役立つ。著者たちは、33種類のがんを代表する7880の腫瘍を調べることで、この一覧を作製した。別の論文ではN Pillayたちが、9873のがんを調べて、染色体不安定性の21の同様なシグネチャーの一覧を作っている。
2022年6月30日号の Nature ハイライト
天体物理学:新しい反復高速電波バースト
原子核物理学:ヘリウム3の核磁気モーメントの直接測定
量子物理学:ダイヤモンドを使った量子誤り訂正
物性物理学:自然ひずみ材料のマヨラナゼロモード
物性物理学:軸性ヒッグスモードの検出
材料科学:極端な温度に耐えるセラミックエアロゲル
ケミカルバイオロジー:アルカロイドGB18の合成と作用
地球科学:動的に弱化する断層破砕帯で間欠的に起こる地震
分子生物学:染色体粉砕をもたらすDNA損傷の機構
神経科学:病気症状を制御するニューロン集団
神経科学:ALS4はクローン増殖したCD8 T細胞を特徴とする
微生物学:ペプチドグリカンの成熟が細菌外膜の構築を制御する
免疫学:カスパーゼ-7は細胞死前の身辺整理を行う
がん免疫療法:T細胞とNK細胞による二重攻撃を誘導するがんワクチン
腫瘍生物学:腎臓がんで変異の組織選択性が生じる仕組み
分子生物学:DNAの複製起点が融解する機構
構造生物学:肝炎ウイルス侵入の受容体となる胆汁酸輸送体NTCPの構造