Nature ハイライト Cover Story:攻撃地点:睡眠病を起こす寄生虫の急所は 鞭毛 2006年3月9日 Nature 440, 7081 アフリカ睡眠病のワクチンが開発される望みはほとんどない。また現在の治療に使われている薬の大半は、古くて特に効果が高いわけでもなく、この病気の多いサハラ以南のアフリカ諸国が抱える諸条件の下では、使用がむずかしい。そのため、薬剤的介入の標的になりうる新しい分子が見つかれば、薬剤開発は大いに勢いづくだろう。睡眠病の病原体であるトリパノソーマ(Trypanosoma brucei)は寄生性の原虫で、むちのような鞭毛をもつ。RNA干渉によるノックダウン実験で、血中のトリパノソーマの生存に鞭毛が不可欠なことが明らかになった。つまりこの鞭毛が治療の攻撃部位になる可能性が出てきたわけで、プロテオーム解析によって、標的になりうるトリパノソーマに特異的な鞭毛タンパク質がいくつか判明した。表紙は、鞭毛の欠陥が原因で細胞分裂が起こらないために生じた血流型トリパノソーマの巨大細胞。[Letter p.224;News and Views p.153; nature.com/podcast] 2006年3月9日号の Nature ハイライト 宇宙:続々と見つかる古いガンマ線バースト 気候:土壌炭素の謎 環境:有機物質上での光化学反応 化学:巨大分子の骨格を切断する 細胞:骨格作りの基盤となるタンパク質のチームワーク 進化:低毒のカエルに似せて身を守るカエル 目次へ戻る