Nature ハイライト
Cover Story:原子レベルの検出力:X線によって元素特性と化学的特性を一度に1原子ずつ捉える
Nature 618, 7963
X線は物質の特性評価に広く使われているが、その成功には、まだ多数の原子からなる試料が必要である。今回S Hlaたちは、シンクロトロンX線を用いて、個々の原子の元素状態と化学状態の特性を評価したことを報告している。彼らは、分子ホスト内の鉄原子とテルビウム原子から生じたX線励起電流をそれぞれ測定することができた。表紙に映し出されているのは、鉄を含む環状超分子で、7つの金属原子架橋によって結合したテルピリジンサブユニットを特徴としており、7つの金属原子のうち6つがルテニウムで、1つだけが鉄である。著者たちは、検出器の探針が鉄原子の真上約0.5 nmにある時に、その鉄原子の特性を評価することができた。
2023年6月1日号の Nature ハイライト
天文学:地球サイズの系外惑星からの熱放射の観測
惑星科学:系外巨大惑星大気中の高い金属量
素粒子物理学:暗黒物質の電荷を絞り込む
物性物理学:粒子–正孔対称性によるスピン・バレーブロッケードの保護
ナノスケール材料:メモリスター用途向けのハイブリッド2D/CMOSマイクロチップ
材料科学:付加製造による高強度で高延性のチタン・酸素・鉄合金
エネルギー材料:3接合型ペロブスカイト太陽電池
エネルギー材料:高効率全ペロブスカイトタンデム太陽電池
生態学:森林は樹木が多様なほど土壌が豊かになり気候変動の緩和に寄与する
創薬:選択性の高い殺線虫剤
進化学:古いシンテニーが解き明かす系統発生の根深い疑問
神経科学:昆虫の非同期型飛翔の神経制御機構
神経科学:脊髄損傷後の自然な歩行が可能に
社会科学:アフリカにおける宗教間の教育格差
がん:ネオアンチゲンを狙え
細胞生物学:キナーゼ活性化剤の治療薬としての可能性
生化学:標的mRNAを特異的・効率的に分解する
分子生物学:細胞分裂時に細胞の状態を忠実に引き継ぐための目印
構造生物学:小胞体とミトコンドリアの接触部位にあって脂質移動に関わるERMES複合体の構造