Nature ハイライト
Cover Story:素早い変化:高速充電電池のリチウム金属は予測可能な多面体に変形する
Nature 620, 7972
リチウム金属電池は、リチウムイオンに基づく電池より速く充電でき、より大きなエネルギーを保持できる見込みがある。こうした電池の再充電には、リチウム金属がアノードで改質される必要があるが、この過程は、電池の電解質や集電体に影響を受けるため、リチウム析出物が予測不能な形状となり、電池の性能が損なわれる。今回Y Liたちは、リチウム金属の析出に影響を及ぼす要因を調べ、予測可能な一貫した結果を得る方法を明らかにしている。彼らは、クライオ電子顕微鏡法を用いて、リチウムは本来、表紙に描かれているような完全な十二面体を形成することを見いだした。さらに、リチウムを十分に速く析出させることによって、4つの異なる電解液と4つの異なる集電体において、こうした菱形十二面体が形成されることも発見した。今回の結果は、リチウムの電界析出に関する一般的な通念を覆すとともに、リチウム金属電池の改良の可能性への道を開く。
2023年8月3日号の Nature ハイライト
天文学:半球ごとに異なる組成を示す白色矮星
惑星科学:系外惑星GJ 1214bの大気の吸収特性と反射率
光物理学:三次元集積で実現された超低雑音レーザー
化学:環状サンドイッチ化合物の合成
気候科学:中世より現代が温暖であることを示す年輪構造
生物地球化学:海洋の鉄循環を駆動する自生鉱物相
環境科学:全球の森林収穫の炭素コスト
惑星科学:月の花崗岩バソリスの検出
進化学:ミニマル細胞も進化する
免疫学:無症候性SARS-CoV-2感染の人の免疫の特徴
計算社会科学:ソーシャルメディア上での情報源の偏りを減らしても行動は変化しない
分子進化学:細胞タイプで見るヒト脳の進化
神経科学:飢えと空腹は別物だった?
発生生物学:アホロートルの組織再生の仕組み
健康科学:大規模言語モデルを臨床応用へ
免疫学:グルタミンの局所投与ががんの治療法になるかもしれない
生物学的手法:大量の試料のクロマチン構造を直接調べる方法
分子生物学:レトロトランスポゾンは、宿主のDNA修復過程を乗っ取ってゲノム中に広がっていく
細胞生物学:UCP1の待望のクライオ電子顕微鏡構造が明らかに