Nature ハイライト
原子核物理学:28Oが初めて観測された
Nature 620, 7976
中性子数/陽子数比が極端に大きい原子核同位体は、原子核構造を支配する物理を理解するための優れたテストベッドとなる。今回、近藤洋介(東京工業大学ほか)たちは、理化学研究所のRIビームファクトリーにおいて、非常に短寿命の共鳴として存在する非束縛酸素同位体28Oと27Oを初めて観測したことを報告している。28Oは、これまで観測された中で最も大きな中性子数/陽子数比を持ち、その20個の中性子と8個の陽子は特に安定な閉殻を形成すると予想されているので、とりわけ興味深い。今回の実験的成果に必要であった多中性子崩壊核分光法(multi-neutron decay spectroscopy)は、それ自体が実験核物理学に新たな機会を開くものである。
2023年8月31日号の Nature ハイライト
天文学:軌道周期がこれまでで最短の連星系パルサー
原子核物理学:28Oが初めて観測された
極低温原子:調整可能なフラストレート系における磁気相関
量子物理学:Er3+を用いた長距離量子通信用光源
エネルギー科学:3D/3Dヘテロ接合を用いた全ペロブスカイトタンデム太陽電池
医用生体工学:神経細胞ネットワークの活動を調節するヒドロゲル系小型電源
化学:光触媒によるシアノ基の位置変換
環境科学:農薬の陸域の収支と海洋への放出
生態学:造礁サンゴは共生藻を育てて食べる
遺伝学:HIV-1複製の遺伝的関連因子が浮かび上がった
臨床神経科学:脳活動から言葉を読み取る
発生生物学:OBOXによるポリメラーゼIIを介したZGA調節
生化学:感染ウイルスによる宿主タンパク質へのRNA付加
腫瘍免疫学:卵巣がんの新しい腫瘍抑制因子としてのインターフェロンε
神経科学:血小板因子PF4は、脳を若返らせる
がん:染色体不安定性は自然免疫経路を介して腫瘍転移を促す
計算生物学:多様なタンパク質を簡単に設計できる新しい手法
構造生物学:OPA1のクライオ電子顕微鏡構造が示すミトコンドリア膜の調節機構
生物物理学:ピエゾイオンチャネルのコンホメーション変化を直接観察する