Nature ハイライト
Cover Story:宇宙オミクス:宇宙飛行の健康への影響を捉える生物医学アトラス
Nature 632, 8027
ここ数年、宇宙ミッション、さらには宇宙空間への宇宙船の投入が過去最多に達しており、宇宙飛行は増加の一途をたどっている。これと並行して、生物学的手法の進歩により、宇宙飛行に対するヒトや微生物の応答をかつてないほど詳細に調べることが可能になっている。今週号では、SOMA(Space Omics and Medical Atlas)の研究者たちにより、この新しいフロンティアを探る3報の論文が報告されている。これらの論文は、航空宇宙医学と宇宙生物学に関する過去最大のデータの概要を示す、より広範な内容の特集の一部である。A BeheshtiとC Masonたちは、この分野における最近の研究のいくつかに焦点を合わせて、その状況を整理している。また、E Overbey、C Meydan、C Masonたちは、米国ワイルコーネル医科大学のバイオバンクであるSOMAについて紹介し、このアトラスに含まれるデータの幅広さを明らかにしている。さらに、M BasnerとC Masonたちは、新たな技術を導入して、乗組員全員が民間人であるSpaceX Inspiration4ミッションの健康への影響をマッピングしており、これによってSOMAの基礎が築かれ、民間人乗組員にとって短期の宇宙飛行は安全であることが示唆された。
2024年8月29日号の Nature ハイライト
天文学:銀河内のガス量を調節する超大質量ブラックホール
天体物理学:高速電波バーストの持続的な電波放射の起源
系外惑星:系外惑星WASP-39 b大気の非一様な明暗境界線
宇宙空間物理学:イオン散逸に対する地球の両極性静電場の役割
原子核物理学:重イオン衝突による反物質ハイパー核の生成
物性物理学:クロム系のカゴメ金属における超伝導の観測
ナノスケール材料:ツイストさせた二重層による原子層レベルに薄い全反強磁性トンネル接合
有機化学:酵素に似た事前組織化による不斉反応
大気科学:気象と気候の予測ためのニューラル大循環モデル
生体力学:カブトムシの翅の開閉機構
がんゲノミクス:小児T細胞性急性リンパ芽球性白血病の包括的なゲノム解析
神経科学:期待により疼痛が和らぐ仕組み
健康科学:ヒトの近位小腸の遺伝子発現アトラス
細胞生物学:酸化ストレスに対抗してミトコンドリアの恒常性を維持する仕組み
微生物学:ユーリアーキオータ門以外のメタン生成菌の培養と特性解析
微生物学:コルアーキイア綱アーキアでのメタン生成の実証
がん:化学物質誘発性腫瘍に腸内細菌が関与
分子生物学:FANCD2–FANCI複合体の構造
構造生物学:胎仔と成体でのアセチルコリン受容体の構造切り替え