Nature ハイライト

Cover Story:考察の糧:ナス属のパンゲノムで主要作物間の進化上のつながりを探る

Nature 640, 8057

作物ゲノミクスは、単一の参照ゲノムから、種の遺伝的多様性を網羅するゲノムの集合体へと急速に移行している。こうした「パンゲノム」によって、同一種および近縁種の個体間や品種間の形質を比較・検証する機会が得られる。今週号では、M Schatz、J Van Eck、J Gillis、 Z Lippmanたちが、この概念をさらに一歩進め、ナス属(Solanum)全体を網羅するパンゲノムを提示している。ナス属には、世界的作物であるトマトやジャガイモの他、アフリカナス(表紙の写真)やナランジラ(naranjilla)などの在来作物が含まれる。研究チームは、ナス属の全種で共有されている遺伝子は約60%にすぎないことを見いだした。これは、急速に進化する遺伝子重複と合わせて、ある作物の知見を別の作物に適用することの難しさを浮き彫りにしている。彼らは、ナス属のゲノムについて、特に研究が進んでいない在来種に関する広範な知識があれば、主要作物と孤児作物の育種戦略を同様に、より予測可能で成功しやすいものにできると示唆している。

2025年4月3日号の Nature ハイライト

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