Nature ハイライト

Cover Story:力を感じよ:化学反応の禁制経路を開く

Nature 446, 7134

化学反応の大半で、反応が進行するには反応物がエネルギー障壁を乗り越えなければならない。これに必要なエネルギーは熱、光、圧力あるいは電位によって供給されるのが普通である。しかし、今回意外にも、このリストに力学的な力が加えられることになった。つまり、力学的な力は反応を文字どおり「一押し」するのである。特別に設計されたポリマーに超音波を照射すると、転位反応が加速され、反応進行経路が変わって、熱または光で誘起された反応からは得られない生成物が生じる。このポリマーは、伸長流から受ける力が最大となる部位にメカノフォア(mechanophore)が位置している。この研究は、化学反応の新しい制御方法を提供するばかりでなく、損傷が起こる前に警告シグナルを出したり、構造を修飾して損傷速度を遅くしたり、さらには自己修復までするポリマーといったような、力学的適応性のある材料の実現につながるかもしれない[Letter p.423, N&V p.381, www.nature.com/podcast]。表紙は、Benjamin Grosser(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校ベックマン研究所イメージングテクノロジーグループ)による。

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