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免疫:体細胞超突然変異の手綱を締める

Nature 451, 7180

体細胞超突然変異は、血中の活性化B細胞が免疫グロブリン遺伝子を多様化して、高親和性抗体を産生する機構であり、感染から身体を守るのに非常に重要な役割を担っている。しかし、この機構は、ゲノムの安定性に対する大きな危険要素ともなり、もしこれが規制されなかったり、誤った指示を受けたりすると、B細胞腫瘍を発生させる可能性がある。体細胞超突然変異反応は、活性化誘導デアミナーゼ(AID)によって開始される。そして一般に、不適切な体細胞超突然変異のリスクは、この酵素をまちがいなく標的と反応させることで回避されていると考えられている。ところが今回、マウスでの新しい研究から、そうではないことが示唆された。AIDは、遺伝子が発現しているゲノムの広い範囲を脱アミノ化し、そこにはB細胞悪性腫瘍に関連する多数のがん遺伝子などが含まれている。ゲノムの広範囲にわたって変異が生じることは、塩基除去修復とミスマッチ修復によって遺伝子特異的で、誤りのないDNA修復が行われるという意外な方法で回避されているのである。

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