Nature ハイライト

生態:炭素が増えると、炭素が減る

Nature 455, 7211

北極水域の水塊に分解性有機炭素を加える実験が行われ、特定の条件下では炭素添加によって生態系内の全有機炭素量が実質的に減少するという、直観に反する知見が得られた。この結果は、食物網内の種間相互作用と、こうした相互作用が栄養供給の変化によってどのような影響を受けるかに依存している。無機養素が制限要因の場合には系内に有機炭素が集積するが、有機炭素によって制限される系においては、海洋細菌が植物プランクトンに打ち勝つことが可能で、正味の結果は全有機炭素量の減少となる。この結果から、海洋炭素循環の現在および将来の状態の記述が、海の食物網内における炭素と増殖を制限する無機養素との間の化学量論的な関係の理解にどのように依存しているかが明らかになる。

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