Nature ハイライト

医学:再び脚光を浴びるMyc

Nature 455, 7213

Myc遺伝子は、正常細胞での遺伝子発現に重要な役割を担っている転写因子をコードしている。また、これは多種類の腫瘍で過剰発現あるいは増幅されているがん遺伝子の1つでもある。このため、Mycは抗腫瘍薬の標的候補となっているが、正常細胞の多くの機能にかかわっていることや、標的化が難しいことなどから、多数の標的候補が並ぶリスト中で上位には位置していなかった。だが、この状況が変わりそうだ。Soucekたちは、Mycの機能をオン・オフできるようなRas依存性肺がんのマウスモデルを用いて、内在性のMycの阻害が腫瘍の退縮を引き起こすことを示している。また、全身的なMycの阻害は他の組織に影響を及ぼしたにもかかわらず、こうした影響は容易に回復可能であった。このことは、Mycが抗がん治療の有用な標的となる可能性を示唆している。

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