Nature ハイライト

Cover Story:体色における種分化:進行中の進化の典型例

Nature 455, 7213

アフリカの湖に生息するカワスズメ科の魚類(シクリッド)は急速な種分化を示す典型例であるが、種分化の機構は明らかにされていない。今回、ビクトリア湖のシクリッドの観察から、視覚系の分岐進化の生態学的および分子的な基盤(視覚関連遺伝子の分岐、雄の体色、および雌の選好性として現れる)が確認された。これは、自然および性的選択の相互作用を介して、感覚が引き起こす種分化につながるものである。感覚が種分化を推し進めるという仮説は、異なる環境に対する感覚系および信号伝達系の発散適応が、集団間で交配前隔離を生じることを予測している。今回の研究結果は、感覚が引き起こす種分化が地理的隔離を伴わずに生じる場合があることの明らかな証拠であり、また、ビクトリア湖の人為的富栄養化によるシクリッドの種多様性の崩壊を機構的に説明している。表紙は、色鮮やかなシクリッド(Pundamilia nyerereiおよびPundamilia pundamilia)と、目立たない野生中間型(上)で、背景は水深によって異なる光スペクトルである(Article p.620, N&V p.601, www.nature.com/podcast)。

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