Nature ハイライト

宇宙:隕石の特急便

Nature 430, 6997

遠方にある小惑星帯での破砕現象は理論上、地球に降り注ぐ隕石のシャワーを強める原因となっているはずである。しかし、最近そのようなことが起こった様子はない。その主な理由は、破砕でできた宇宙の残骸の多くが、地球に向かうきっかけを得ないまま、木星の強大な重力場で散らばってしまうからである。しかし過去には、小惑星物質が内部太陽系にすみやかに運ばれてきたことがあったかもしれないと、P R Heckたちが今週号で主張している。 研究チームは、スウェーデン南部の4億8千万年前の堆積物中に残された隕石について調べた。これらはおそらく、5億年前に起きたと考えられる小惑星帯での衝突の名残りらしい。これらの隕石の化学分析から、小惑星帯から地球までの移動時間が10万年程度であることと、衝突でできた物質が内部太陽系に向けて放出される際にたどる軌跡が少なくとも1つは存在することが示される。移動時間が約10万年であることは、小惑星の破砕後に隕石の雨が長期間降り注ぐことに矛盾しない。こんなことはまた起きるだろうか? 空を見上げてごらん。

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