Nature ハイライト 植物:マイクロRNAと細胞運命 2010年5月20日 Nature 465, 7296 古典的植物モデルのシロイヌナズナ(Arabidopsis)を用いた植物の根の発生に関する研究で、miRNA165/6というマイクロRNAが細胞間のコミュニケーションにかかわっていて、根細胞の運命決定因子として働いていることが明らかになった。根から葉や茎へ水や溶質を輸送する木部の管構造のパターン形成が、今まで知られていなかった二方向性のシグナル伝達経路、つまり、ある方向への転写因子の細胞間移動とそれとは逆方向へのマイクロRNAの細胞間移動に依存していることがわかったのである。中心柱で生成する転写因子SHORT ROOTは内皮に移動し、そこで転写因子SCARECROWと協同して、MIR165aおよびMIR166bというマイクロRNAを活性化する。次いで、それが維管束の細胞で、III型ホメオドメイン-ロイシンジッパー転写因子をコードするメッセンジャーRNAを標的として分解する。この調節経路に、進化的に保存された転写因子およびマイクロRNAのカスケードが関与していることは、この経路が陸上での成長への進化的適応である可能性を示唆している。 2010年5月20日号の Nature ハイライト 植物:マイクロRNAと細胞運命 細胞:3Dで見るゲノム 宇宙:従来と違う型の超新星 工学:GaAs半導体膜の新しい製造法 気候:海洋は温暖化している 医学:細菌をもって細菌を制す 医学:HIV感染に抵抗する 医学:地球温暖化とマラリア 目次へ戻る