Nature ハイライト

Cover Story:マラリアと戦うための武器庫:血液段階のマラリア原虫に効果のある数千の化合物

Nature 465, 7296

マラリア感染は、現在でも毎年ほぼ2億5,000万例が報告されており、80万人以上が死亡し、死亡者の大半は5歳未満の小児である。熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)は、薬剤耐性を獲得しやすいことで悪名高く、新たな薬剤が緊急に必要とされている。今回、アルテミシニンに替わる薬剤の開発に期待をもたせる2つの研究が発表された。これらの研究によって、熱帯熱マラリア原虫の赤血球中で無性世代の成長を阻害する数千種の化合物が同定された。その多くは、現在使用されている薬剤とは構造および作用機序が異なっている。Guiguemdeたちは、30万種類以上の化合物を対象として化学遺伝学の手法によるスクリーニングを行い、1,300の「ヒット」化合物中には、非常に有望で治療濃度域が広い561種が含まれていることを明らかにしている。Gamoたちは、グラクソ・スミスクライン社の化学物質ライブラリーにある約200万種類の化合物をスクリーニングし、1万3,500を超えるヒット化合物を見いだして、その多くは多剤耐性をもつマラリア原虫株に対して効果があることを報告している。これらの研究は有望なリード化合物の豊かな供給源を提供しており、新規抗マラリア薬を探索する大学や企業の研究者は結果を無料で入手できる。表紙は、赤血球に感染した熱帯熱マラリア原虫メロゾイトを、三次元デジタル画像の等値面集合により可視化したもの(Articles pp.305, 311, N&V p.297)。

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