Nature ハイライト

再生医学:肝再生のシグナル

Nature 468, 7321

内皮細胞は酸素や栄養素を運ぶための輸送路を形成するだけではないことを示唆する証拠が増えてきている。例えば、胚発生の際に内皮細胞は循環系が発達する前に器官形成を誘導する。今回、肝臓の70%を切除した肝再生マウスモデルでの実験で、内皮細胞が外科的切除後の肝再生を持続するのに使う分子経路の1つが明らかになった。肝内皮細胞の特定集団でのVEGFR2の活性化が、内皮細胞特異的な転写因子Id1の上方制御につながり、さらにWnt2と肝細胞増殖因子(HGF)の分泌が誘導され、肝細胞の増殖が引き起こされる。この結果から、肝再生を促進する血管ニッチ由来の誘導性シグナルを用いて、外科的切除後の肝再生を開始・促進させることも可能だと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度