Nature ハイライト
Cover Story:ファミリーの絆:地理的に隔離されているオランウータン2種のゲノムの解読がもたらす種の保存への期待
Nature 469, 7331
東南アジアに生息する大型類人猿であるオランウータンのゲノム配列が解読された。今回得られたのは、スマトラオランウータン(Pongo abelii)の雌1個体の概要ゲノム配列と、スマトラオランウータン5個体およびボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus)5個体からの短鎖リード配列データである。解析から、ボルネオオランウータンとスマトラオランウータンでは、ゲノム全体のヌクレオチドの一致度が平均99.68%であることが示唆された。この数字は比較的大きな違いがあることを示しており、これら2つの島の個体群の進化史が異なることを表している。オランウータンのこれら2つの種は絶滅危惧種に指定されており、研究チームは、今回のゲノム配列解読結果および個体群間の変動に関する情報が、保全活動にとって貴重な情報源となることを期待している(Letter p.529)。
2011年1月27日号の Nature ハイライト
医学:結核との戦いを持続可能なものにする
脳:記憶力増強薬の標的になる増殖因子
細胞:転写によらない概日リズム
宇宙:ハッブルデータに見つかった初期銀河
量子情報科学:固体量子メモリーの進展
地球:水の損失は氷床の移動速度を調節する
発生:ホヤで見つかった新規な幹細胞
遺伝:母親似、父親似
細胞:プロバイオティクス細菌の防御効果