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植物:トウモロコシ黒穂病を引き起こすクロボキンが宿主を「懐柔する」仕組み

Nature 478, 7369

トウモロコシの黒穂病の原因菌であるUstilago maydisは、植物組織内へエフェクターを送り込み、その働きによって植物に腫瘍を発生させる。そのようなエフェクターの1つが、コリスミ酸ムターゼのCmu1であることが明らかになった。この酵素は、宿主植物細胞に取り込まれると細胞のサリチル酸濃度を低下させ、感染がうまく進むように細胞を下ごしらえする。Cmu1を不活性化すると菌の毒性が消失するので、この酵素は黒穂病阻止のための新たな標的として関心を集めそうだ。多くの植物病原体が分泌型コリスミ酸ムターゼをコードしており、これは広く使われている感染機構であると考えられる。

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