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構造生物学:腸内病原菌の酸耐性

Nature 483, 7391

1982年に世界的大流行を引き起こした大腸菌O157:H7型や、2011年のヨーロッパでの大規模な集団感染の原因となった大腸菌O104:H4型などの腸管出血性細菌は、ヒトの胃内部の極度に酸性の高い環境中にあっても酸耐性系を使うことで生き延びる。アミノ酸対向輸送体GadCは、細胞内酸耐性系2(AR2)の中心的な構成要素で、この系は細胞内のγ–アミノ酪酸(GABA)と細胞外のグルタミン酸の交換によりプロトンを排出する。今回、GadCが酸性条件下でのみGABA/L–グルタミン酸を輸送することが明らかにされ、また「閉じた」状態の大腸菌GadCのX線結晶構造が決定された。構造および生化学解析から、GadCやほかのアミノ酸対向輸送体で保存されている輸送機構が示唆された。

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